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関ジャニさんに対する気持ちのあれそれ

味園ユニバースが大好きという話(前編)

2018年11月21日有楽町スバル座での復活上映を見てきた勢いのまま、味園ユニバースが大好きです、という話をさせてください。

※ネタバレ有りです!(公開して3年以上経つけど一応)

 

私は渋谷すばるさんのファンだから初主演映画のことが大好きなのは当たり前なのかもしれないけど、「好きなタレントの主演映画だから好き」という以上に味園ユニバースという映画が大好きなんです。

 

それは、

①私が個人的に好きな雰囲気であること

渋谷すばるさんの魅力が存分に引き出されていること

ざっくり言うとこの2つがうま〜〜く混ざり合って引き立てあっているからだと思うんです。「好きなタレントの初主演映画だから好き」に加えて、「個人的に雰囲気が好き」「その人の魅力が存分に引き出されている」の2つの要素が入ったら、そりゃもう大好き以外の何でもないですよね、、

 

まず①の「私が個人的に好きな雰囲気」について。

タイトルとラストシーンの舞台にもなっている大阪ミナミの味園ビル、そしてビル内のライブホールであるユニバース。

 

日本の景気がうなぎ登りだった頃に建てられた感満載の奇抜なネオン看板、勢いよく流れ落ちる滝?噴水?、ディープな世界へと誘う魅惑の螺旋階段、、まずこの建築物が好き。私は大阪の街のことはよく知らないんですが、外の人間から見て「さすが大阪!!」と言いたくなるような、ごったな独特の面白さがあるなあと思います。

個性あるバーが集まるディープスポットには怖いもの見たさな憧れがあって、ついつい心惹かれてしまう。ライブホールのユニバースも元々はキャバレーだったそうで、内装も普通のライブホールよりも煌びやか。ステージ背面全体に広がるネオン照明の独特さ、たまらないです。文化財にしたい。しかも、キャバレーが閉鎖してしまったけれど、なんとか残したいということで地下へ移転してライブホールになったんですよね。

それだけ愛を持っている人がいて、こうやって今に残っているのだから、血の通った建物なんだなあと、胸を打つものがあります。

 

次に映画全体の雰囲気でいうと、ゆるりとした生活感があるところが好き。

毎朝、空き缶を潰すおじい、おじいが缶潰してる間にカスミは朝ごはんを準備して、お店を開けて常連さんがやって来て、、というサウンドスタジオ サトウの1日、カスミとおじい、そしてそこに加わることになったポチ男の日常の生活が感じられる。

 

映画のストーリーとしては「記憶喪失になって歌しかない男」とか「親父さんが亡くなった後、高校には行かずスタジオを継いでバンドのマネージャー的なこともしてる(恐らく)10代の女の子」とかいう結構ぶっとんだ設定なんだけども、映画の中に生活感があるから、観客も「カスミとポチ男って本当にどこかにいそう」と思いながら見れてしまう。 

 

その、どこかにいそうな生活感というのは、繰り返される普遍的な朝食のシーンとか、衣装の「本当に生活しているように見える服*1のおかげかなあと思う。ポチ男の服、ペラペラでクタクタで、うちの実家にも絶対タンスにこういう服あるなと思う(笑)

careerhack.en-japan.com

 

あと味園ユニバースって1度も回想シーンが入らないですよね。ポチ男の過去を知る場面でも、過去を知る人物たちが話す断片的なキーワードを繋げて茂雄のことを知るしかない。

刺青入った連中とつるんでた、道楽者の親父さんに似て歌が好きだった、店も継がないで遊んで子供作った、その子供を置いて出て行った、仲間がレジの金盗んだ、傷害事件起こして刑務所行った、、茂雄の過去のことはこれくらいしか情報がない。

これって観客もカスミも同じ情報しか与えられていないんですよね。お姉さんの旦那さんとカスミが立ち話する場面は、観客もカスミと一緒に茂雄の過去を想像する場面でもあって、そこのリンクが面白いなあと思う。もし回想シーンがあって、観客にだけ茂雄の過去がもっとわかってしまったら(もっと若い頃の雰囲気だとか、どのくらいクズだったかとか)、観客はもっと俯瞰してカスミとポチ男(茂雄)の関係を見てしまう気がする。

それがないから、カスミに近い目線で、その後のポチ男と記憶が戻った茂雄を見られるのだと思う。映画パンフレットの中で山下敦弘監督が「編集をしている内に、空っぽのダメ男と見守っている母性の話なんだなと気付いて。」と言っているんだけど、後半は特にカスミと観客の目線を近くすることで、観客をカスミと同じく「見守る母性側」に置くことに成功しているんじゃないかなと。

 

回想シーンがないというのは映画の中の時間が一定方向で未来へ進んでいることでもあって、「過去がないなら未来を作ればいいだけの話」と言うカスミの台詞と重なって、ぐっとくるものがあります。映画のテーマと一貫性があって良いですよね。

 

あとはポチ男がやってきて赤犬で歌うようになって、段々とカスミの中でポチ男の存在が大きくなっていくのが丁寧に描かれているのが本当に微笑ましい。言葉は少ないけど、スイカの種を飛ばすシーンはカスミもポチ男も本当に楽しそうで、良いシーンですよね。

その後、ポチ男の記憶が戻って茂雄が出て行って、おじいと2人の朝食の場面があるんだけど、そのときにおじいがカスミの頭をポンと叩くんですね。カスミも表には出さないけど、ポチ男が出て行った寂しさがあって、それをおじいがちょっとなぐさめるみたいな。おじいってボケてるようでちゃんとカスミのこと見てるんだなあ、という愛を感じるこれまた良いシーン。

 

①に挙げた「個人的に好きな雰囲気」をまとめると、味園ビルやユニバース、赤犬オシリペンペンズなどのディープな世界と、サウンドスタジオを中心としたカスミとおじい、そしてポチ男の日常の生活感と人情味が好きなんです。

この日常の生活館と人情味に関してはサントラもゆったり雰囲気づくりに大きく貢献していると思う。実在するバンドの音楽以外の劇中の音楽って、比較的ゆったりした曲が多いですよね。

アングラでディープな世界と、日常がうまく混ざって混沌としているような、不思議な感じ。でも本当にカスミもポチ男も居るんじゃないの?と思える現実味もあって、、 うまく表現できないのがもどかしい。

 

少し長すぎたので②に挙げた「渋谷すばるさんの魅力が存分に引き出されていること」については後編という形で書きたいと思います。

本当はもっと短くまとめる予定でしたが無理だった、、味園ユニバースが大好きなので、、、(言い訳)

 

*1:スタイリスト伊賀大介さんの言葉の引用